彌彦神社参道の手水舎(ちょうずしゃ)と広場を隔てた右上段、石柵を巡らして、御神木椎の木が茂っています。 祭神が持っておられた杖を地に挿したら、たちまち根付いて枝葉を茂らし、天下に異変のあるときは奇瑞を現す、と伝えられています。 元の本殿はこのかたわらに鎮座していましたが、明治45年3月11日の火災で、神殿も御神木も共に焼けてしまいました。 その後、神殿は現在地に再建されましたが、御神木は、不思議にも焼け残った幹からまた新しい芽が伸びはじめ、再びこんもりと繁茂するに至りました。 この奇異な現象を目の当たりにした人々は、いよいよこの霊木を通じて信仰を深めました。 良寛の歌 いやひこの 神のみ前の 椎の木は 幾代へぬらむ 神代より かくし有るらし ほづ枝には 照る日をかくし 中の枝は 雲をさえぎり しずえはも いらかにかかり ひさかたの 霜はおけども しなとべゆ 風は吹けども とこしへに 神のみ代より かくてこそ 有りにけらしも 伊夜日子の 神のみ前に 立てる椎の木
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