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工 芸(昭和63年3月10日指定) |
わにぐち 鰐ロ ーロ 大字弥彦 宝光院 |
鋳鋼製、鼓面径53cmという大型鰐口で、鼓厚も、肩厚11.3cm、甲盛りともに大きく、形姿も堂々としている。県下にある中世鰐口のうちでは最大のものである。 正・背面とも撞座(つきざ)は「八葉陽刻」の蓮華文で、中央の中房には中心と周辺に9個の蓮子を中房と花弁の間には、蘂(しべ)を放射状にそれぞれ陽刻する。この撞座を中心に三重の圏線(けんせん)がほば等間隔にめぐる。圏線は中心から二条、子持ち三条、外線二条である。各圏線はやや間隔があくようにあらわされている。雲形耳はあらかじめ鋳型に流して作ったものを鼓面鋳成の際、正・背面の合わせ目からやや中央寄りにすえて付けている。一般には鼓面鋳造時に片耳または両耳を同時鋳造する方法であるが、この例はむしろ異例である。 正面外区に次の陰刻銘がある。 越後州蒲原郡弥彦大明神御寶前鰐口 明應五丙辰八月日 これにより明応5年(1496)に弥彦神社に奉納されたものであることがわかる。願主などは不明である。弥彦神社から宝光院に移ったのは明治45年の弥彦大火後といわれる。 なお、別鋳の耳を鋳型に埋め込むように据える方法、やや間のびして表される圏線、撞座蓮弁の表現などの特色は、三条市八幡宮鰐口(文明3年、1471)と類似しており、鰐口鋳造上の地方的特色の一つとしてみることができよう。 |
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